
今日の題目は「やってあげる」の罪についてです。
わたしは職業柄、頻繁に
弁護士、司法書士、税理士、社労士、そして行政書士といった職業の人に会います。
いわゆる士業という方々ですね。わたしもそうです。
そして、時折、耳にする言葉。
それが「やってあげる」です。
わたしが、一般社会(?)から入ってきたから思うのでしょうか。
ずっと違和感がある言葉です。
別に原則論や良い子論を展開したいわけではなく、直感に近いものなのですが、どうも違う気がするんです。
士業間で話をしているとき・・・
「この間、★★業の会社さんに頼まれて、◆◆の手続を“やってあげた”んだけどね〜」
「◆◆の手続を“やってあげた”時、★★になっちゃってね〜」
こういう具合です。
士業というのは、一般的には、先生と呼ばれることがある職業です。
資格者数が制限され、かつ、報酬が所属団体で、決められていた時代がありました。
今は激しい競争社会になっていますが、そうでない時代があったわけです。
これらの名残なのでしょうか、特に年配の士業とお話する折に出てくる言葉です。
「やってあげる」とは、「上から下に何かをする」の意味合いがあると思います。
お金をいただいているのは、顧客です。
「させていただく」というのが、適切な表現だと思うんです。
わたしは、所内でも口をすっぱくして言っています。
ただ、表現をどうのこうのではないです。
文字にすると難しいな・・・。
にじみ出る何か。
根底に置いている、顧客をどう思っているかの思想。
これが関係している気がします。
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もう一つ、関係していると思うので、少し横道に逸れます。。
ちょっと語弊がありますが、わたしは、顧客第一主義ではありません。
『お客様は神様です』
最近少なくなりましたが、顧客第一主義とイコール、といってよいほど、世間一般で、言われるフレーズですね。
実はこの表現。
高度成長期時代、三波春夫という歌手が、観衆を前に言った流行語。
目の前の観衆(お客様)を「神」だと思って歌いなさい、という意味でした。
これが一般流行語になって、なぜか、顧客第一主義の代名詞のようになってしまったものです。
ドラマで時々ありませんか?
レストランで苦情を言う客が決まって口にする台詞。
「お客様は神様だろう!客が言うことを聞けないのか!」。
最近、言わないかな・・・(^_^;)
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顧客第一主義は、少なくとも士業の場合、マイナスに動くと、わたしは思っています。
依頼されることのほとんどのケースで、法律が関係します。
わたしの場合は、会社法、民法、建設業法、産業廃棄物関連の法律、著作権法、不正競争防止法などなど。
顧客にとって不利な内容でも、告げなければならないことがあります。
告げなければ、顧客、士業ともに不幸になってゆくと思います。
お客様は神様です、という論旨に従って、顧客のおっしゃるがまま進めると、違法となるケースがあるでしょう。
国家機関による摘発となれば、顧客はもちろん、士業の側も、刑罰を受けることになります。
と書くと、国家機関と同じベクトルを持つように見えてしまいますが、士業は逆です。むしろ、反対側です。
国家機関と民間との間を取り持つ存在だと思います。
国家機関の横暴を阻止するのも、士業の役割の一つかとも思います。(話が大きくなってしまいますね・・)
国家機関が「Aだ!」ということを、法律上「Bの可能性」があれば、顧客のために「Bだ!」と主張してゆく職業です。
Bを認めてもらうために、あらゆる手段を考え、策を講じるのが士業だと思うんです。
当然、国家機関との良好な関係も必要なのですが、それ以上に必要なのが、
顧客のために「Bだ!」と胸を張る強さだと思うのです。
ちなみに、当事務所が顧客第一主義でない証明(?)として、10のお約束、というものを定めさせていただいています。⇒10のお約束(新しいタブ)
9個目、10個目あたりが象徴的かもしれません。
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どんどん脱線してゆきそうなので、元に戻します。
にじみ出る何か。
根底に置いている、顧客をどう思っているかの思想。
「やってあげる」と口に出てしまうということは、上から下への何かです。
たぶん、ですが、前述の「Aだ!」「いやBだ!」ということを考える以前の問題。
目の前にいらっしゃる顧客が、神様なのか、そうでないのか、意識していない結果と言えるかもしれません。
表現難しいな・・・。
たぶん「やってあげる」と言う士業は、
国家機関が「Aだ!」ということを、たとえBの可能性があったとしても
「そうですね、Aですね。顧客を説得しますよ〜」
という風になるんではないかと。
完全に、国家機関とベクトルを同じくする、ということです。
上からの目線をする人は、更に上の人には、従順になってしまう傾向があります。
士業にとっての国家機関が上とは思いませんが、そう思って、従ってしまう人は、世の中に存在すると思うんです。
『国家機関とベクトルを一致』させる人。
『自分は顧客があるから存在している』という大原則を忘れてしまう人。
そもそも、競争社会ではない時代を経験したからこそ、出てくる言葉かもしれません。
シンプルな上から目線ですね。
何にせよ、顧客の見ている景色を共有できない、話を聴くことのできない形と言えようかと思います。
顧客にとって、士業にとって、これ以上の不幸はありませんね。
信頼して任せたのに、結果は玉虫色。
納得したような、しないような・・。
「やってあげる」の罪は、
その表現の結果ではなく、にじみ出る何か、根底にある顧客への在り方が、大きく関わっているのではないかと思うんです。
あくまでもわたし個人の考えですが、そうおもうのです。
弁護士、司法書士、税理士、社労士、そして行政書士といった職業の
「やってあげる」を聞いたときの違和感。
この辺にあるのかな、と思いました。
一部の士業には当てはまらない考え方かもしれません。
でも、多くの士業には、当てはまることかなと思います。
「させていただく」と、いつまでも胸を張る士業であり続けたいなと思います。
投稿者:崎田 和伸
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